TOPページ > みんなで学ぼうシリーズ 第1回 |
ご質問と回答 ⑤ | |
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耳ダニと獣医師に診断され、点耳薬による治療を開始しました。 2週間ほどで耳は非常にきれいになりましたが、完治の判断について、耳垢が全くないため検査ができない、もう少し様子をみましょうといわれています。 特に判断の期限は教えてもらえず、耳垢による検査ができない限り、完治していない可能性があるから様子をみる必要があるとのことです。 運悪くトリミングにいく直前に診断されたことから毛がボサボサで目に毛が入り涙が非常に出てきているのと、涙やけも非常にひどくなってきました。 獣医師の判断が正しいと思っていますが、飼い主のわがままとしては、耳垢がないのであれば完治しているものと判断し、トリミングに連れていってあげたいです。 すみませんが、セカンドオピニオンをお願い致します。 |
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耳ダニに感染し、治療でよくなったものの、完治の診断を受けられないためトリミングに行かれず悩んでいらっしゃるとのことでございますね。 耳ダニは「耳疥癬」あるいは「ミミヒゼンダニ」ともよばれ、主にどうぶつの外耳道の表面に寄生します。耳ダニが寄生しているどうぶつとの接触によって感染し、耳の中で分泌物や耳垢などを食べて生活し、卵を産んで増えていきます。卵は2~4日で孵り、幼虫になります。幼虫は脱皮をくりかえして3週間程度で成虫になり、雌の成虫は産卵します。成虫の寿命は1~2カ月間と言われています。耳ダニが感染すると外耳炎が起こり、激しい痒みで頭を振ったり後足で耳を引っかいたりといった症状が見られます。 また、黒褐色の乾いた耳垢が多量に認められます。耳ダニの存在が確認されたら、耳道内をきれいに洗浄し殺ダニ剤でダニを駆除します。 ただし、殺ダニ剤は成虫の耳ダニに対して効果があり、耳ダニの卵には効果が期待できません。そのため、一定の間隔で2 - 3回程度殺ダニの処置をすることがあります。 ワンちゃんは点耳薬による治療をお受けになり、2週間ほどで耳垢がない状態まで改善したとのことで、何よりです。 完治の判断についてですが、耳ダニの場合、「これで完治」という診断を行うのは確かに難しいことです。一度治療により成虫を駆除し耳垢がない状態になっても、万が一耳の中に卵が残っていると、それがまたかえることで症状の再発を繰り返してしまうこともみられます。 また、耳ダニの卵がワンちゃんの生活環境中に落ちていて、再感染を起こしてしまうこともあります。 治療法や使用する薬によっても異なりますが、通常は一定期間(1~2週間程度)おきに数回成ダニを駆除する治療を行い、症状が認められなくなってからも数週間おきに数回検査を行って、耳垢や耳ダニが認められない状況が続けば、完治と判断する病院さんが多いのではないかと思います。 「耳垢が全くない」ということは「現在耳ダニの成虫が認められない」と判断してもよいと思いますが、その状態が今後(できれば2~3週間程度)持続するかどうか様子をみてみないと、完治と判断するのは難しいかもしれません。他のどうぶつへの感染の拡大を防ぐために、完治するまではトリミングに行くことを避けていただくのはとても大事なことです。 とはいえ、毛が伸びて眼に入り、涙が出たり涙やけがひどくなってしまうのはかわいそうですし、早くトリミングに連れて行ってあげたいお気持ちはとてもよくわかります。 耳垢や症状はほぼなくなっているとのことですので、治療が適切に行われて、他のワンちゃんへの感染の可能性が低いことがわかれば、完治の診断はなくても、状況をきちんと説明した上でトリミングを受けていただける可能性はあるかもしれません。 ただ、ワンちゃんの現在の状態が、まだ他のワンちゃんに感染させてしまう可能性が高い状態なのかどうなのかは、治療方法や症状の経過によっても異なってまいりますので、トリミングに連れて行きたい旨をお話になった上で、主治医の先生とよくご相談いただくとよろしいのではないでしょうか。 もし現在の段階でどうしてもトリミングに連れて行くのが難しいようであれば、眼に入ってしまっている毛をカットして涙やけを防ぐ処置だけでも病院でしていただけないかどうか、ご相談されてみるとよろしいと思います。 なお、主治医の先生からご指示があったかとは思いますが、ワンちゃんの生活環境中に多数の耳ダニの卵が落ちていて、それが再感染の原因となってしまうことがあります。 ワンちゃんのベッドやケージ、敷物などは洗浄・消毒し、お部屋も頻繁に掃除機がけやぞうきんがけを行うなど、環境中からの再感染の防止に気をつけてあげていただければと思います。 |