闘病日記からわかること

マイカルテをみんなで共有することの価値

 プロジェクトを通じて、みなさまとの共有を進める闘病日記、そしてマイカルテは、動物病院の先生が記録するカルテとは対象とする範囲(時間や内容)が異なります。

最も範囲が広いのがマイカルテです。
これは、ご家族のみなさまが、どうぶつを家族に迎えた日から、日々の健康情報やケガや病気のこと、予防接種や食事を変えたとき、気になることなどの記録を一元化して情報管理をするものです。

例えば、A動物病院に通院していましたが、引っ越しをしてB動物病院に通院する場合、病院カルテは各病院で管理されていますので、情報が分散してしまいます。こうした状況においても、ペットの通院・検査結果、診療内容を自分ですべて記録・管理しておくことに、マイカルテの価値があるのです。

次に闘病日記ですが、これはケガや病気ごとに記録するものです。このプロジェクトでは、この闘病日記を記載することからスタートしたいと考えています。闘病日記は、時系列でつなぎあわせると、マイカルテにとても近い情報になります。足りない情報は、予防接種の記録や、食べ物のこと、気になる変化などが考えれらますが、闘病日記さえ記録にとどめておけば、万が一のケガや病気の際にでも、十分に有効な情報になりえます。

 では、この闘病日記を、みなさんと共有することで、どのような価値が生まれるのでしょうか。
1つは、ケガの発生や病気の発症(初期症状)が、どのような状況・状態だったのかを知ることで、早期発見・早期治療や予防につながります。例えば、「吐こうとして苦しんでいた」「便が赤茶色になっていた」「耳を触られると嫌がる」などの状態が、適切な処置・治療が遅れてしまうと重症な病気につながる可能性があること知っていれば、直ぐに病院に連れて行くことができます。また、ケガが発生した状況を共有し、分析することで、どのようにすれば事故やケガを回避することができるのか、そのきっかけを知ることができるのです。

2つ目は、再発の防止です。
ケガや病気の再発を防止できるように、みなさんはわが子の生活環境を整えたり、日々の健康管理を行い、必要に応じてしつけを徹底するなど、試行錯誤しながら取組んでいます。こうした取組みをお互いに知ることで、みんなで再発の防止に取組むことができます。

3つ目は、心のケア、精神的な支えです。
みなさんは、ペットの突然のケガや病気に対して、惜しみない愛情を注いで看病しています。こうしたみなさんの強い心と愛情にふれることで、きっとお互いの心の支えになると思います。

マイカルテを共有することの価値

本プロジェクトでは、闘病日記を継続して募集しています。ケガや病気のたびにしっかりと闘病日記を記載する習慣にして、ご家族のみなさまがお互いに支えあえる心豊かな場を作りたいと願っています。
ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いします。

みんなの闘病日記からわかること(骨折を一例として)

みんなの闘病日記(マイカルテ)を分析すると、たくさんの気づきがあります。

例えば、犬の骨折事故は、「交通事故や高所からの落下による発生が多い」と書籍に書かれています。しかし、実際の闘病日記を読みますと、「いつもは普通に昇り降りしているソファーから、着地に失敗した」「家族の帰宅に興奮して、ダッシュしてつまづいた」など、普段の生活環境において、どうぶつが自ら事故を招くケースが多いことがわかります。

また、家族がだっこしている時に、「不意に飛び降りてしまった」「ソファーに座りながらだっこしていたら、来客のチャイムに驚いて飛び降りた」など、一言で「落下」と言っても、様々な状況があることがわかります。
その他、「旅館に行った時に、テーブルに乗ろうとしたら転んだ」「初めてドックランに行った時に、嬉しくて駆け巡っていたら、急に足を引きずっていた」など、慣れた環境でない、初めての場所・環境での事故発生もあります。

 これらをマトリックスで示すと、下図のように整理することができます。
 こうした分析は、骨折事故の発生予防にとって、とても重要です。家族の注意ケアで、防止できる事故もあるからです。一つの例ですが、みなさんの闘病日記は、共有して分析することで、予防につなげることができるのです。

みんなの闘病日記からわかること

予防に向けた循環システムの稼働

 闘病日記(マイカルテ)では、「症状を初めて確認した時の状態」や、「動物病院に行く直前の状態」、そして「治療内容」「現在の状態(予後)」「予防への取組み」など、幅広い情報が共有されています。
これは「予防に向けた循環システムの稼働(下図)」の中で、〔事故発生・発病〕→〔通院・診療〕→〔事故情報・病気発症及び診療情報の収集〕まで、行うことになります。

さらに、アニコム損保では、契約者様からの保険金請求データ、対応動物病院様からのレセプトデータを分析して、毎年11月に『家庭どうぶつ白書』を発刊しています。
これは主に〔通院・診療〕のデータ分析となりますが、膨大なデータ量になることから、様々な角度から分析が可能です。

このプロジェクトでは、白書のデータと、闘病日記(マイカルテ)の共有データを統合して、次のステップとなる〔発生・発症データの分析・原因究明〕に進みます。そして、〔予防・再発防止・重症化予防策の立案〕につなげた後、予防に資する情報や知識をご家族のみなさまへ提供〔コミュニケーション〕したいと考えています。

この活動は、一巡させることが目的・ゴールではなく、何巡もサイクルを回してスパラルアップさせることで、予防に一歩一歩近づくものと認識しており、みなさまと共に推進してまいります。

みんなの闘病日記からわかること

予防に向けた操作パラメーター

 発生・発症のデータ分析・原因究明や、予防・再発防止策を立案する際には、「環境」「飼い主」「どうぶつ」の3つに軸を置き、まずは個々に考えること。そして、それらの関係性・相互作用を理解することが重要だと考えています。

例えば、ダイエットに取組もうとする際、人間の場合は、自分に強い意志があれば食物摂取のコントロールや適度な運動によるダイエットが可能です。もちろん、専門家のアドバイスを受けながら、適度に進めることが大切です。そして、必要であれば、断食合宿に参加する、冷蔵庫に余分な食べ物を入れない、お菓子箱に鍵をつけるなど、環境の整備を行います。

一方で、どうぶつにおいては、当たり前のことですが、単独でのダイエットは不可能です。
体重コントロールに関する家族の知識、しつけ、ご飯の調整、そしてなによりも「わが子のために!」という家族全員の強い意志が必要です。どうぶつも、運動量を増やす、おやつを我慢するなどの努力が必要です。
そして、家族とどうぶつとの関係性、距離感、依存度合いなど、相互作用のコントロールも大切なのです。
もう一つの例として、上記でも取り上げました骨折事故の場合には、家族とどうぶつ、そして環境が強く関連してきます。
床の素材やソファーの高さ、段差やケージの位置、照明なども影響してくるのではないでしょうか。さらに、外耳炎などは、気温、湿度の管理も影響があると考えられます。
ケガ・病気の発生・発症は、遺伝要因と環境要因の2つの作用として考えれらる場合が多いですが、このプロジェクトでは、それぞれの関係性や相互作用を強く意識しながら予防・再発防止策を考えたいと考えています。

予防に向けたパラメーター