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ワンちゃんの雷・花火恐怖症について

夏は、雷や台風など、天候の激しい変化に遭遇することも多く、雷鳴や稲妻、暴風雨などに対して強い恐怖を感じるワンちゃんが多いことは、よく知られています。
また、祭りや花火など、私たちにとっては心躍る楽しいイベントがたくさんありますが、ワンちゃんにとっては、太鼓や花火などの大きな音が恐怖の対象となってしまうこともよく見られます。

天候の変化や祭り、花火がある度、我が家のワンちゃんが、恐怖のあまり、いつもと違う行動をとるのを見ることは辛いものです。
楽しく夏を過ごすためには「どのようにワンちゃんに接することが望ましいのか」を考えてみましょう。

ワンちゃんの恐怖心について

天地にとどろくような雷鳴や稲妻、ドンドンと腹の底に響くような花火や太鼓の・・・。
ワンちゃんがこのような音や光に恐怖を感じるのは理解できるような気がしますね。
厳しい自然を生き抜いてきたワンちゃんは、少しでも早く危険を察知して逃げる必要がありました。
そのため、恐怖を感じるということは、危険から身を守るための正常な反応ともいえるでしょう。
ただ、恐怖心が高じてパニックを起こしてしまい、ケガをするなど、日常生活に影響を与えるほどの強い反応を示すこともあります。
恐怖心に伴う行動の中には、吠える、震える、物を破壊する、逃走しようと暴れる、身を堅くして動けなくなってしまう、といったものが挙げられます。
また、排泄や嘔吐をしてしまうことも多く、場合によっては、てんかんの発作を起こすこともあります。 
特定の刺激に対して過剰な恐怖反応を示すことを「恐怖症」といいますが、ワンちゃんの恐怖症の中でも、雷や花火などに対するものは代表的なものと言えるでしょう。

雷や花火への恐怖症を防ぐために

音などの刺激に反応しやすいワンちゃんもいれば、動じず平然としているワンちゃんもいて、ワンちゃんにもそれぞれ個性がありますね。
持って生まれた気質もありますが、強い反応を生まないためには、何か秘訣があるのでしょうか。影響を与えるといわれているポイントを挙げてみました。

1.初めての出会いが大事
「初めての印象がどのようなものであったか」ということは、後々、ワンちゃんの反応に大きな影響を与えます。
ワンちゃんと一緒に初めて迎える夏、私たちにとっては楽しみな祭りや花火に一緒に行きたくなりますが、注意していただきたいのは、急に大きな刺激に触れさせるのは避けるということです。
最初は、ワンちゃんの様子に変化が見られないくらい、祭りや花火の会場から離れたところで、楽しそうな雰囲気を感じさせるくらいに留めておき、ワンちゃんにとって、お祭りや花火のイメージを少しでも楽しいものにしましょう。
お祭りや花火の雰囲気を楽しみ、ゆっくりとワンちゃんの体を撫でながら話をしたり、好きなオモチャを見せたり、わが家のワンちゃんが喜ぶことをしていただくとよいでしょう。

祭りや花火は大体の予定が分かっているので対応しやすいのですが、雷などの天候の変化は、突然やってくるので対応が難しく、困ってしまいますね。
ワンちゃんにとって、雷の音だけではなく、鳴り出す前の気圧や空の色の変化、稲妻が光ったり激しい雨が降ったり、外の状況が一変する様子も恐怖を感じる一因となると言われています。
あらかじめワンちゃんをこのような天候の変化に慣らしておくため、似た状況を作るということは不可能に近いのですが音だけでも、最初の夏を迎える前に少しでも慣らしておくと、夏を迎えたときのワンちゃんの様子が、ずいぶん違います。

【雷や花火の音に慣らす練習方法について】
ワンちゃんにとって嫌いな音を、小さな音から徐々に好きなことと結びつけながら慣らしていきます。
雷や花火の音などが入ったCDやDVDなどを利用して、ワンちゃんがリラックスしている時にごく小さい音で効果音を流します。特に怖がる様子がなければ、ワンちゃんにとって楽しいことをしたり、ご褒美を与えたりします。
家の中のいろいろな場所に音源を移して試していただき、音がどこから流れてくるのか分からないようしていただくと良いでしょう。ワンちゃんが音に対して、震えたり、どこかに隠れたりするような反応が見られたら、音を消してしまいましょう。
ただし、楽しいことはそのまま続けてください。毎日繰り返し、少しずつ音量を大きくしていきます。

雷や花火の音とワンちゃんにとって嬉しいことを関連付けることで、「雷や花火の音を聞くと良いことがある!」とワンちゃんが理解してくれて、怖いものでなくなると嬉しいですね。この方法はステップを踏んで少しずつ刺激を大きくしていくという点がポイントですが、段階を踏まずにいきなり大きな音を聞かせてしまうことは、逆効果になることもあります。タイミングが合わず慣らす間がなく夏を迎えてしまったとしても、次の2〜6 に挙げたポイントはたいへん効果的です。

2.飼い主さんの態度が重要
(1)飼い主さんは落ち着いて堂々と行動する
ワンちゃんは、飼い主さんの気持ちやその場の雰囲気を感じ取る能力の高いどうぶつです。
雷の気配がしたとき、飼い主さん自身があわてたり、不安気な態度を取ると、ワンちゃんは敏感に感じ取りますので、ワンちゃんの恐怖心を増強することになります。
また、ワンちゃんがいつもと違う行動をしても叱ったり、騒いだり、あわてたりしないようにしましょう。
飼い主さんはいつも堂々と、「何があっても、あなたを受け止め、守ってあげるから安心しなさい」という落ち着いた態度を見せることが大切です。

(2)なだめない
花火や雷に恐怖を感じて震えるワンちゃんを見て、飼い主さんが過剰に声をかけたり、
なだめたりすると、「やっぱり花火や雷って特別で怖いものなんだ」という認識を強めてしまうことにもなりかねません。
「花火や雷は何も特別なことじゃないのよ。怖がらなくてもいいのよ。」ということを、態度で示してあげましょう。
ワンちゃんに震えたりおびえたりしている様子が見られても、「大丈夫よ」と声をかける程度にして、普段通りの行動をしてください。
ワンちゃんに余裕があるようであれば、一緒におもちゃで遊んであげたり、おやつをあげたり、飼い主さんが歌を歌ったり笑ったりして、楽しそうな様子を演出していただいても良いでしょう。
「雷や花火は日常的なこと」「それほど怖がる必要のないこと」と思わせてあげることが大切です。

3.天候などの周囲の変化をあまり感じないようにする
「今日は近所で花火大会がある」、「夕方から雷が鳴るかもしれない」などというときには
あらかじめ雨戸やカーテンを閉めておき、奥の部屋で音楽をかけて過ごすなど、突然鳴り響く音や光にワンちゃんが驚かなくてもすむようにしてあげましょう。

4.ワンちゃんにとって安心できる場所を作る
ワンちゃんにとって、安心できる場所を用意しておくことは重要です。日頃からケージやクレートの中などを安心できる場所にしておくと良いでしょう。
また、ワンちゃんが雷や花火に音に反応しそうなときは、「ハウス」と安心できる場所に入るように誘導して、落ち着かせていただくのもよいでしょう。

5.日頃から飼い主さんの号令に従う習慣をつける
生活のいろいろな状況で、飼い主さんの指示に従う習慣をつけることは、ワンちゃんの精神的な成長を促し、落ち着く習慣をつけることにもつながります。
散歩に出かけるとき、食事のとき、オモチャを持って飼い主さんに「遊ぼう」と誘ってくるとき、いろいろな場面で、「オスワリ」や「マテ」などの号令をかけて、「指示に従ったら良いことがある」ということを教えてあげましょう。

6.リラックスをする訓練をする
飼い主さんの指示でワンちゃんがリラックスできるように訓練していくと良いでしょう。
これは、日頃から少しずつ訓練してできるようしておくと、日常生活の様々な状況で役に立ちますので、ぜひ試してみてください。

【リラックスをさせる練習】
ワンちゃんに「休め」、「リラックス」などの号令をゆっくりと優しい声でかけて、ワンちゃんを静かに落ち着かせる練習をしてみましょう。
飼い主さんの落ち着いた声に反応して、ワンちゃんが落ち着いたら、ゆっくりと体を撫でてあげましょう。
このように、日頃からワンちゃんに「落ち着くこと」を体感させておくと、ワンちゃんが恐怖でパニックを起こしかけた時にこの号令をかけることで、ワンちゃん自身が落ち着くことができるようになります。実際にできるようになるまでには時間がかかることもありますが、根気強く訓練をしておくと良いでしょう。

症状が治まらないときの対応方法について

なかなか改善が見られず、過剰に怖がってパニックになり、暴れる、よだれを垂らす、失禁する、嘔吐や下痢をする、てんかん発作などの症状が見られるような場合には、治療が必要なケースもあります。一般的には回数を重ねるごとに恐怖感は強くなり、また年を重ねるほど治療は難しくなりますので、早めに適切な治療を始めた方が良いでしょう。まずはかかりつけの動物病院の先生に相談してみましょう。

治療には、不安を抑える成分のサプリメントの使用、薬物療法(抗不安薬、抗うつ剤など)、行動療法があります。
不安を軽減すると言われるサプリメントの成分には、L−テアニン、GABA類似物、ミルクペプチドなどがあります。
サプリメントは大きな副作用を気にせずに気軽に始められますが、効果には個体差が大きいようです。
抗不安薬、抗うつ剤などによる薬物療法は適切な投薬により効果が期待できますが、薬によっては効き始めるまでに時間がかかるので、シーズンの始まる1カ月程度前からの投薬が必要になる場合もあります。
また、薬によっては長期に投与すると耐性ができ、投薬量がだんだん多くなって効き辛くなってくることもあり、副作用との兼ね合いから投薬が難しくなるケースもあります。
薬物療法を行う場合でも、行動療法を併用して行う必要があります。

改善が難しい場合は、行動治療に詳しい先生にご相談を

ワンちゃんの恐怖症の症状や重症度はワンちゃんによって異なり、また、生活環境によっても対処法が異なってきます。
適切な治療を行うためには、それぞれのワンちゃんの状態に合わせた細かいケアが必要な場合もあります。
症状がひどい場合や、一般的な治療を行ってもなかなか改善しないような場合には、細かいカウンセリングと状況に応じた適切な薬物療法を行うことのできる行動治療の専門の先生にご相談いただくのも一つの方法でしょう。

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