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  • (暮らしの豆知識)

異物を誤飲したときの対処について <お家の中にあるもの編>

人間と同じ生活空間で暮らすどうぶつたちにとって、生活環境中には危険なものがいっぱいです。
特に、好奇心が旺盛な子犬や子猫の時期は異物誤飲事故が起こりやすく、
生活環境の見直しなど、事故予防を心がけることはたいへん重要です。

それでも、実際にわが子が異物を飲み込んでしまったことに気づいた時には、どうしたら良いのでしょうか。

「様子を見ていて良いのか」「中毒や腸閉塞の危険性があり、すぐに動物病院を受診した方が良いのか」

「受診するまでの間、お家でどのような対処をした方が良いのか」など、悩んでしまいますね。
そのようなときのご参考ために、また、あらかじめ誤飲の危険性を確認していただき、
事故を未然に防いでいただくために、異物を誤飲してしまった時の症状、お家での対処法、病院で行う処置についてまとめてみました。
なお、個々の状況に応じて対処法や処置などが変わってくる可能性もありますので、
あくまでも一般的な目安としてお考えいただき、具体的には動物病院の先生の指示に従ってください。

症状と対処法について

1.危険度の高いもの

種類症状/対処法/病院での処置
糸やヒモ状のもの症状:
ある程度の長さのものを飲みこんでしまうと腸閉塞を起こし、嘔吐、食欲不振、腹痛などの症状が見られます。
時間の経過とともに腸に壊死が起きたり、腸に傷がつき穿孔(穴があくこと)して腹膜炎を起こしたりして、死亡してしまうこともあります。
対処法:
飲み込んだ物がどの程度の太さと長さのものなのかを確認していただき、すぐに受診してください。口や肛門から糸やヒモが出ていることがありますが、無理に引っ張ると消化管粘膜などを傷つけることになり危険です。絶対に引っ張らないでください。
病院での処置:
X線検査、造影検査、超音波検査などでヒモ状異物による腸閉塞の可能性が高いことが確認されたら、開腹手術を行い摘出します。
穿孔の状態や壊死が認められた場合には切除しなければならない場合もあります。
竹串、画びょう、ピン、くぎ、針など症状:
どうぶつの体の大きさと異物の大きさによっては無症状で経過し、便とともに排出されることもない訳ではありませんが異物が口腔内や消化管粘膜を傷つけたり、穿孔したりする危険性があります。
食欲不振、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が見られます。
対処法:
どのようなものを飲みこんだ可能性があるかを確認します。飲み込んだ可能性が高かったり、症状が見られたりしている場合にはすぐに受診してください。その際、可能であれば同じもの、あるいは現物が写っている写真などを持参すると良いでしょう。
異物が尖ったものの場合、胃や食道の粘膜を傷つけたり穿孔させたりする可能性が高いので、決して吐かせてはいけません。
飲み込んだものがごく小さいもので、特に症状が見られない場合には、便の中に排泄される可能性もありますが、動物病院の先生に連絡して指示を仰ぐと良いでしょう。
病院での処置:
X線検査、造影検査、超音波検査などで異物を確認します。異物の大きさが小さく、腸閉塞を起こすリスクが少なく、かつ便中への排泄が期待できる場合には、高繊維食を摂らせて経過観察を行います。
胃や食道の粘膜を傷つけたり穿孔させたりする危険性が高い場合には、麻酔下で内視鏡による摘出、あるいは開腹手術による摘出を行います。
たばこ症状:
たばこに含まれるニコチンが原因となる中毒症状が、摂取後数分間で起こります。興奮して活動的になり、よだれを流したり、嘔吐、下痢などが見られたりします。多量に摂取すると、震えやけいれんを起こして起立不能になり、昏睡に陥って死亡する場合もあります。
対処法:
中毒症状が出るのが早いため、誤飲に気づいたらすぐに受診してください。
病院での処置:
食べた直後の場合は催吐処置を行います。すでに症状が見られる場合には中毒症状を抑える処置を行います。
漂白剤 症状:
家庭用の漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムは腐食性ですので、口腔内や消化管粘膜に炎症や傷害をひき起こします。よだれを流したり、嘔吐、吐血などが見られたりします。原液が目に入った場合には、激しい刺激により角膜や虹彩に傷害が起こり、最悪の場合には失明をすることもあります。
皮膚に長時間接触した場合には、水胞や発疹が見られます。
対処法:
吐かせることで食道の粘膜を傷つけてしまうので、漂白剤を飲んでしまっても吐かせないようにしましょう。
水を多めに、かつ吐かない程度摂らせていただき、すぐに受診してください。
原液が目に入った場合には水で十分に(15分以上)洗い流し、症状が見られなくても念のためすぐに受診しましょう。
漂白剤が皮膚についた場合は、ヌルヌルがなくなるまでよく洗い流し、症状が見られるようであれば受診してください。
病院での処置:
水分を多く摂らせて希釈するとともに、制酸、吸着を目的とした薬剤の投与、対症療法を行います。


2.成分によっては危険度の高いもの

種類 症状/対処法/病院での処置
乾燥剤、脱酸素剤症状:
乾燥剤には主にシリカゲル、塩化カルシウム、生石灰があります。シリカゲルは毒性が低く、ほとんど問題ありませんが、塩化カルシウムと生石灰は毒性が強く、口にすると粘膜の炎症や潰瘍をひき起こし、目に入ると結膜や角膜の傷害を起こします。
脱酸素剤の主成分は鉄粉の場合がほとんどで、毒性は低く、大量に食べなければ重篤な中毒を起こす心配はありません。
対処法:
まずは乾燥剤、脱酸素剤の種類を確認して下さい。成分が分からない場合にはメーカーに問い合わせていただき、対応について動物病院の先生の指示を仰ぐと良いでしょう。塩化カルシウム、生石灰の場合は水を多めに、かつ吐かない程度飲ませて、すぐに受診して下さい。目に入った場合は水で十分に(15分以上)洗い流してから受診して下さい。
病院での処置:
粘膜保護剤の投与および対症療法を行います。
保冷剤症状:
大量摂取でなければ問題のないものもありますが、保冷剤の種類によっては、成分にエチレングリコールが含まれているものがあります。この場合には中毒を起こす危険性があります。摂取量によっては神経症状、腎障害、低カルシウム血症などを起こし、死亡することもあります。
夏の熱中症対策に保冷剤を利用される飼い主さんは多いようですが、ワンちゃんやネコちゃんがかじってしまうことも多く、十分な注意が必要です。
対処法:
保冷剤の種類と成分、どのくらい食べてしまった可能性があるかを確認します。エチレングリコールが含まれている可能性があるようならすぐに受診して下さい。
病院での処置:
摂取直後で症状が見られない場合には催吐処置を行います。吸着を目的とする活性炭や下剤の投与とともに、対症療法を行います。
ヒトの医薬品症状:
薬の種類によっては、大量摂取でなければ問題がないものもありますが、薬の種類や摂取量によって中毒症状を起こすものもあります。症状は薬の種類によって様々です。薬のシートなどをそのまま飲みこんでしまった場合には、咽頭部や食道、胃粘膜などを傷つけ、食欲不振や嘔吐などの症状が見られることもあります。
対処法:
どのような薬(薬剤名、剤型、含有量など)をどのくらい飲んでしまった可能性があるかを確認します。動物病院に連絡をして、すぐ受診するかなど、対処法について指示を受けて下さい。
病院での処置:
誤飲した薬の種類や症状によって異なりますが、直後であれば催吐処置を行ったり、解毒剤や活性炭の投与、輸液などの対症療法を行ったりします。

3.量によっては危険度の高いもの

種類 症状/対処法/病院での処置
食用油症状:
少量なめた程度では問題ない場合もありますが、ある程度の量を摂取すると嘔吐、下痢などの消化器症状を起こします。重症の場合は膵炎を起こすことがあります。
揚げ物や脂っこい食べ物を大量に食べてしまった場合にも同じような症状が起こります。
対処法:
症状が見られる場合やある程度の量を飲んだ可能性がある場合にはなるべく早く受診しましょう。
食用油は、気管に入り肺炎をおこす危険が高いため吐かせてはいけません。
病院での処置:
対症療法を行います。膵炎が疑われる場合には、膵炎の治療を行います。
お酒症状:
少量なめた程度では問題ない場合もありますが、ある程度の量を摂取すると運動失調、行動異常、興奮、あるいは沈うつなどの症状があらわれます。重篤な場合は昏睡に陥って死亡する場合もあります。
ワンちゃんは与えられるとビールなどを大量に飲んでしまうことがあるので注意しましょう。
対処法:
症状が見られる場合やある程度の量を飲んだ可能性がある場合にはなるべく早く受診しましょう。
病院での処置:
摂取後は吸着のため、速やかに活性炭を投与し、対症療法を行います。
使い捨てカイロ症状:
使い捨てカイロの成分は鉄粉、水、食塩、活性炭、バーミキュライトなどです。毒性は低く、一般的には重篤な中毒を起こす心配はありません。大量に食べると下痢や嘔吐が見られることがあります。
対処法:
下痢や嘔吐、食欲不振などの症状があれば受診してください。
病院での処置:
対症療法が中心となります。
ペットシーツ、ティッシュなど症状:
ペットシーツの中身は綿状パルプ、高分子吸収体、吸水紙などからできています。通常は便と一緒に排泄されますが、一度に大量に食べた場合など、嘔吐や下痢などの症状をひき起こすことがあります。また、お腹の中で水分を吸って膨張し、腸閉塞のような状態になることもあります。ティッシュも同様です。
対処法:
大量に食べてしまった場合や、下痢や嘔吐、食欲不振などの症状がある場合は受診してください。
病院での処置:
対症療法が中心となります。
腸閉塞が疑われる場合には、外科的処置を行うこともあります。

4.状態によっては危険度の高いもの

種類症状/対処法/病院での処置
靴下、タオル、雑巾などの布類、ボール、マスコット、人形などのおもちゃ、プラスチックなど 症状:
どうぶつの大きさと異物の大きさによっては、無症状で経過し便とともに排出されることもありますが、異物が胃内に留まったままであったり、腸閉塞を起こしてしまっていたりすると、嘔吐、食欲不振、腹痛などの症状が見られます。布類を引きちぎって食べているような場合だと、上述のヒモ状異物と同様の状態となり、非常に危険です。
対処法:
飲みこんだ可能性があるものの大きさと素材を確認します。ある程度の大きさのものを飲み込んだ可能性が高い場合や症状が見られている場合には、すぐに受診してください。その際、可能であれば同じもの、または現物が写っている写真などを持参すると良いでしょう。
飲み込んだものが、ごく小さいもので、特に症状が見られない場合には、便の中に排泄される可能性もありますが、念のためかかりつけの先生に連絡して指示を仰ぐと良いでしょう。なお、繊維質を多めに摂らせるようにすると、便のかさが増やし、異物により腸が傷つくのを防ぐことができる場合もあります。また、便をしたら中に異物が含まれていないかを排便の度、便をほぐして確認するようにしましょう。
病院での処置:
X線検査、造影検査、超音波検査などで異物を確認します。異物の大きさが小さく、腸閉塞を起こすリスクが少なく、かつ便中への排泄が期待できる場合には、高線維食を摂らせて経過観察を行います。
誤飲した直後の場合には、異物の形状が胃や食道を傷つけたり再閉塞させる危険の少ない場合などでは催吐処置を行うこともあります。
また、内視鏡により異物の摘出を行うこともあります。
これらの方法で摘出が難しい場合には、開腹手術を行います。
電池症状:
電池の大きさや形状によりますが、消化管を通過してそのまま排泄されれば、特に症状を示すことはありません。しかし、食道や胃などに長時間留まってしまうと、放電や電池の崩壊によって粘膜の損傷や潰瘍を引き起こすことがあります。
対処法:
飲んだ電池の種類を確認して、すぐに受診してください。
病院での処置:
X線検査で電池の位置を、時間を追って確認して、消化管内を移動しているようなら自然に排泄されるのを待ちます。停留している場合や腸閉塞の危険性がある場合には、内視鏡による摘出や外科的処置を検討します。
硬貨症状:
消化管を通過してそのまま排泄されれば、中毒症状を示すことはありません。しかし、どうぶつの大きさによっては胃などに長期間とどまって粘膜を刺激し嘔吐や食欲不振の原因になったり、腸閉塞を起こしたりすることも考えられます。
対処法:
特に症状がなくても、確認のために受診してください。
病院での処置:
X線検査で硬貨の位置を、時間を追って確認します。停留している場合や腸閉塞の危険性がある場合には、内視鏡による摘出や外科的処置を検討します。

お家の中にある、その他、中毒の危険性のあるもの

【人間の食べ物】 
人間が食べて大丈夫なものでも、ワンちゃんやネコちゃんが食べると中毒症状を起こす可能性のある食べ物があります。
人間の食べ物はキッチンやリビングなどワンちゃんやネコちゃんが共通に生活するスペースに置かれていることが多く、
誤飲事故も大変多く見られますので、十分注意しましょう。

詳細は次の記事を参考になさって下さい。
「異物誤飲に注意 その1」 

【観賞用植物】
私たちが室内に置くことの多い観葉植物や切り花の中にも、ワンちゃんやネコちゃんにとっては危険なものがあります。
切り花を挿しておいた水を飲んだだけでも中毒の症状を起こすこともありますので、
中毒の危険性のある植物はワンちゃんやネコちゃんの周りには置かないように十分注意しましょう。

詳細は次の記事を参考になさってください。
 「身近にある危険な植物」

病院へ行く前に

誤飲してしまったと思っていても、実際には食べていないことがあります。
誤飲をしていないのに、病院で緊急処置をしてしまうと、要らぬ負担をワンちゃんやネコちゃんにかけてしまいかねません。
病院へ行く前に、本当に口に入れてしまったのか、口にしたと思ったものが床に落ちていないかなど、今一度確認をしましょう。
また食べてしまったものがどのようなものかを、なるべく正確にかかりつけの先生に伝えることはたいへん重要です。
容袋や容器、同じタイプのものがあれば実物を持参するようにしましょう。
また、その後の様子をメモしておき、嘔吐物があれば持参しましょう。

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