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  • (予防(健康管理))

子犬期の食事について

私たち人間は20年近くかけて大人になりますが、ワンちゃんは、ほぼ1年で成犬になります。生後10日ほどすると、出生時の体重の約2倍に、生後約4か月から5ヶ月頃になると成犬期の体重の約半分になります。もちろん、成犬になったときの体重が2kgにも満たないチワワと90kgくらいにもなるセント・バーナードでは成長の速度は異なります。
一般的には、大きなワンちゃんのほうが成長のスピードが遅く、中型犬や小型犬では半年〜1年で成犬になり、大型犬や超大型犬では18か月頃まで成長を続け、中には一人前になるのに2歳ごろまでかかる場合もあります。

急速に成長を遂げるこの子犬期は、ワンちゃんの健康を維持するだけではなく、身体の骨格や内臓機能、免疫機能など、将来のワンちゃんを支えるさまざまな機能が成長を遂げる時期です。
この時期の栄養管理が適切であることが、その後のワンちゃんの健康に影響を与えるともいわれています。今回は、子犬期の食事について考えてみましょう。

新生児期<生後2週頃まで>

【母乳について】
哺乳期のワンちゃんにとって大切な栄養源である母乳は、高エネルギーで栄養価も高く、消化率も高い完全食品です。特に分娩直後約72時間に分泌される母乳は初乳と呼ばれます。
この初乳を介して病気に対する免疫が母犬から子犬へと受け継がれるのです。また、初乳には子犬の腸内細菌叢(さいきんそう:腸内に生きている細菌の集団)を正常に保つ働きもあります。
したがって、初乳をこの時期に可能な限り与えることは、子犬の成長に大変重要です。 

初乳は、生後1週間ほどすると成熟乳になります。この成熟乳に比べて初乳に含まれるたんぱく質(ほとんどが免疫グロブリン)は約2倍でビタミンAも多く含んでいます。なお、初乳と成熟乳ともに、鉄分は不十分ですが、離乳食を摂取するようになると必要な鉄分を蓄えるようになります。

【代用乳について】
小型犬は平均2〜3頭の赤ちゃんを、中型犬や大型犬ですと6〜10頭の子犬を出産します。
母犬が産んだ子犬の数が多いと、弱い子犬に母乳が渡らず衰弱してしまったり、低血糖症になってしまったりすることもあります。全部の子犬ちゃんに母乳が行渡っているかを確認するためには、体重が適度に増加しているかを毎日確認する必要があります。
その結果をみながら「新生児用代用乳で補充する」などの対応をしましょう。

特定の子犬ちゃんだけに代用乳を与えるのではなく、同腹犬をグループに分けて、一方のグループが母乳を飲んでいるときに、もう一方のグループには代用乳を与えるようにすると良いでしょう。
体重の増加率によっても哺乳回数は異なりますが、最初の1週間はできるだけ頻繁に与えるようにします。
具体的には、「1日に10回前後」が目安になるでしょう。
2週以降では1日5回ほど与えましょう。なお、新生児期は下痢をしやすいため、母乳や代用乳以外の飲み物を与えることは控えます。

離乳期の子犬<生後5週目頃〜生後2か月頃>

生後3〜4週ほど経つと乳歯が生えてきます。このころになると、子犬は母犬の食べていたフードなどに興味をもつようになりますので、様子を見ながら成長期用のフードに微温湯を加え、粥状にして食べさせましょう。子犬用のフードを粥状にするにはミキサーを利用するのも良いでしょう。
離乳食を作る際、ドライフードをふやかすために熱湯を使うと、フードの栄養まで壊してしまうことがあります。
使用するお湯の温度には注意をしましょう。フードを選ぶ際には必ず総合栄養食と表示されているものにします。

離乳後から成犬期の子犬<生後3か月頃〜1歳頃>

離乳後の子犬はまだまだ赤ちゃんですが、その後ぐんぐんと成長を遂げ、生後半年すると性成熟を迎える子もでてきます。幼い中にも大人びた表情を見せ、飼い主さんを驚かせる頃です。離乳後から1歳頃までは、同じ成長期のうちでも成長のスピードが異なりますので、成長過程に見合った食事内容と量を与える必要があります。

【食事量】
成長段階に要求される食事内容は、ドッグフードを包装してある袋に印刷してありますので必ず確認しながら与えましょう。離乳期ごろのワンちゃんが摂取するカロリー・栄養は、全体の約半分は健康維持のために、約半分は成長のために使われます。 

生後6か月を過ぎるころになると成長のスピードはぐっと落ちてきます。このころを過ぎると、成長のために使われるカロリー・栄養の比率が下がり、健康維持のために利用する比率が上がってきます。このような変化にあわせて、生後6か月ごろを過ぎると給与量を減らすフードもありますが、エネルギー密度は各フードによっては異なりますので、必ず与えているフードについて確認しましょう。フードの包装記載の分量はたいていは一日あたりの量ですので、食事回数で割ると一回あたりの給与量の目安が出てきます。

【食事の回数】
成長が著しい時期には、たくさんの栄養素やエネルギーが必要ですが、子犬の胃は小さくまた消化機能の成長もまだ不十分です。そのため、栄養価が高く消化性の高い食事を、一日に数回に分けて与えてあげたほうが望ましいでしょう。離乳直後のワンちゃんは日に5回〜6回程度、生後5か月位までは3回くらいが理想ですが、忙しい生活を過ごす飼い主さんの場合は難しいこともあります。可能な範囲で工夫していただければ良いでしょう。

【食事内容の移行方法】
歯がしっかりと生えてきて、だんだんワンちゃんの消化能力が整ってきますが、3か月ごろになると、ウンチの状態や目の輝き、身体の動きなど、ワンちゃんの様子を見ながら、粥状から少しずつ固いものを与えるようにします。移行する際の注意点は、「ゆっくり、少しずつ」です。ふやかすお湯の量や時間を10日ほどかけて少しずつ減らすことで、ワンちゃんの消化器官に負担をかけないようにします。

「そろそろ一歳だな」という頃になると幼犬用のお食事から成犬用の食事に切替えたり、その後もフードの銘柄を変えたりするというように、食事内容を切り替えることは多いのですが、切り替える際には、少しずつ変えていくようにしましょう。また、ワンちゃんが初めて食べるものに関しては、少しずつ様子をみながら与えるようにしましょう。
食事の回数を変えるときも同じです。減らしたい時間帯の食事量を少しずつ減らしていき、与え続けようとする時間の食事量は増やしていきます。 一日トータルで与える食事量が適量であるように管理します。

【食事の与え方】
食事を出したままにして、いつでも食べられる状態にするのは避けましょう。ドライフードの脂肪分が空気に触れることにより酸化し、味も風味も劣化する上栄養価も落ちます。特に暑い季節では痛んでしまい下痢や嘔吐の原因になる可能性があります。また、いつでも食べられるのであれば、食事に対する有難みも伝わりにくくなるかもしれません。 ある程度の時間が過ぎたら、必ずいったん片付けてしまいましょう。
ワンちゃんの食欲がなく、食べ方が少ないときもいったん食器は片付けてしまい、1時間〜2時間くらいたってからもう一度与えたほうが良いでしょう。もちろん新鮮なお水が飲めるようにしてくださいね。

さて、ワンちゃんは、「どのようなときに、どのようなことがあったのか」を大変よく覚えています。騒いでいるときにご飯をもらえれば、「騒げばご飯をもらえる」と思ってしまいます。同様に、食べないでいたときに「どうしたの?」、「食べましょう」などと声をかけると、「食べないでいると、構ってもらえる」と、勘違いをするかもしれません。「構ってほしくて食べない」ということにならないように、食べたときに褒めるようにしましょう。

低血糖症

脳は血液中の糖分をエネルギー源としているため、血糖値が著しく低下するとその影響を受け様々な症状を引き起こします。低血糖症とは、血液中の糖の濃度(血糖値)が低下してしまうことにより起こる病気です。
月齢3か月くらいまでの摂食量の少ない小型犬に多く、長時間食事を摂れないことやストレスなどが原因となります。症状は、「ふらつき」、「ぐったりする」、「元気・食欲消失」、「全身性の痙攣発作」、「昏睡」などです。

低血糖症を予防するためには、1回あたりのドッグフードの量を減らして食事回数を増やすなど食事の時間と回数に注意します。また、低血糖の症状が起きたとき、砂糖水などを舌にたらして舐めさせると症状が進行することなく回復することがあります。
ワンちゃんが痙攣や昏睡などを起こし、意識がしっかりしていなく口から砂糖水を与えるのが困難な場合はすぐに動物病院で処置をしてもらいましよう。

栄養バランスの重要性

子犬期は多くの栄養が必要な時期ですが、過剰に与えたり、バランスが崩れてしまうことで健康を損なったり、成犬後の疾病につながったりすることもあります。

例えば、成長期だからといって、カルシウムを過剰にあたえてしまうのは大変危険です。
腸管のカルシウムの恒常性を調節することが苦手な、幼い時期の子犬がカルシウムを過剰に摂取すると、高カルシウム血症となり、骨格異常をひきおこしてしまうことがあります。
また、カルシウムとリンのバランスも重要です。カルシウムの摂取が不足してリンの摂取が過剰になると、低カルシウム血症や高リン血症が生じ、上皮小体ホルモンの分泌が過剰に分泌されて上皮小体機能亢進症による骨の成長障害が生じることもあります。

リンとカルシウムは拮抗関係にあるため、リンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害してしまうことにも注意が必要です。なお、リンを1としたら、カルシウムが1〜1.5くらいのバランスが望ましいといわれています。
このように、子犬の健全な成長を促すためには、栄養バランスが大変重要です。

大型犬、超大型犬の整形外科疾患に注意

たとえば誕生時に500gほどのグレート・デーンの子犬は、生後1年半ほどで70kg前後まで成長します。
それでは、グレート・デーンの子犬期に、より栄養価に富んだフードをできるだけたくさん与えなければいけないのでしょうか。
一概にそうとは言えず、状態にあった栄養のバランスや適切な量が重要です。大型犬の子犬期に過剰な栄養摂取をすると、筋骨格系の異常などの整形外科疾患をひきおこすことが多いので、大型犬を飼うときは注意が必要です。
つまり大型犬は、小型犬よりもゆっくりと時間をかけて大きくなるように育ててあげることが大切なのです。

もともとプログラミングされた骨格にあわないほどの急速な成長を促してしまうことが、ワンちゃんの体に物理的な負荷をかけすぎてしまうのです。
また、カルシウムの過剰摂取が骨の正常な再構築(リモデリング)を阻害してしまうことにもなってしまいます。
大型犬だからといって、特別にカルシウムやビタミンAやDなど、余計な栄養素を与えず、ゆっくりと成長させてあげることが重要です。
また、大型犬や超大型犬の子犬期には、激しい運動をさせると筋骨格に問題が生じやすいので注意をしましょう。

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