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回虫による感染症

回虫による感染症とは

回虫は線虫類に属する寄生虫です。人や犬、猫をはじめ、多くの哺乳類の、おもに小腸に寄生します。犬科の動物には犬回虫、猫科の動物には猫回虫、人には人回虫というように、それぞれのどうぶつに固有の回虫が存在し感染します。

犬の回虫症/猫の回虫症

◇感染経路

■犬回虫(Toxocara canis)

感染している犬が排泄した直後の糞便内の犬回虫卵には感染能力がありませんが、体外で7~10日かけて幼虫包蔵卵となり、さらに2~3週間すると感染能力を獲得します。

この段階の幼虫包蔵卵を経口的に摂取することにより感染が起こります。

また、妊娠している母犬の胎盤を介しての胎子への感染(胎盤感染)や乳汁を介する子犬への感染(経乳感染)といった母子感染も起こります。生後2~3ヶ月の子犬が犬回虫に感染することが多いのですが、成犬へ感染しても幼虫が全身の筋肉内などで発育せず、休眠状態となることが多くみられます。

 

■猫回虫(Toxocara cati)

猫回虫も犬回虫とほぼ同様の感染経路で感染しますが、猫回虫卵を口にしたネズミや鳥、ミミズなどを猫が口にすることで感染することもあります。また、子猫への経乳感染はありますが、犬回虫卵とは異なり胎盤感染は起こりません。また、猫回虫は成猫に感染した場合でも発育して成虫まで成長することが多くみられます

 

◇症状

■犬が感染した場合

成犬が感染しても、多くの場合、全身の諸臓器で発育せず幼虫のままで、無症状で、感染に気付き ません。一方、子犬が感染すると成虫までなり、嘔吐や下痢などの消化器症状、太鼓腹、脱水、被毛不良、栄養失調、体重低下などの症状を起こします。

 

■猫が感染した場合

成猫が感染すると、多くの場合、幼虫のまま全身の諸臓器で発育せず休眠状態になっていたり、成虫が小腸に感染しても無症状なことが多いので感染に気付かないのですが、子猫では、嘔吐や下痢などの消化器症状、太鼓腹、脱水、被毛不良、栄養失調、体重低下などの症状を起こします。

 

◇治療

■犬・猫

駆虫薬を投与します。駆虫薬は腸管内にいる虫体には効果がありますが、通常、体内移行中の幼虫や虫卵には効果がありません。そのため、一般的には2週間以上の間隔をあけて、複数回の投薬が必要です。その他、下痢や嘔吐をしている場合は下痢止めや吐き気止めの投与、脱水している場合は輸液などの対症療法も行います。

犬・猫回虫症(人への感染)

人に犬や猫の回虫が誤って侵入した場合、どうぶつ種が異なるので回虫は成虫にまで発育することができないといわれています。しかし、幼虫のまま体内のさまざまな臓器や器官にまで到達し、何ヶ月も生き続けてさまざまな障害を起こすことがあります。このことを「トキソカラ症」と呼ぶことがあります。

 

◇人への感染源となりうるどうぶつ

犬、猫など

 

◇病原体

犬回虫(Toxocara canis)/猫回虫(Toxocara cati)

 

◇人への感染経路と症状

犬や猫と同様に、人への回虫の感染は幼虫包蔵卵を経口的に摂取することで起こります。感染しているペットの糞便やそれが付着した被毛、環境中に落ちた虫卵などから感染したり、公園の砂場の砂にまぎれた虫卵を摂取してしまったりすることなどが原因となります。

犬回虫卵や猫回虫卵は、免疫力のある大人の体内に入っても問題がないことがほとんどです。

一方で、免疫力が低下している人や幼児、高齢の方の体内に入ると、腸内で幼虫が孵化し、幼虫のまま体内を移行し、肝臓や眼、神経などの臓器に侵入してさまざまな障害を引き起こすことがあります。これを幼虫移行症といいます。

また、犬回虫や猫回虫が本来の宿主ではない鶏や豚、牛などのどうぶつに感染した場合、回虫は成虫まで発育できず、幼虫のまま肝臓や筋肉などへ移動し、そこで数年間生き続けます。

このようにして犬回虫や猫回虫に感染した鶏や豚、牛などの家畜の肝臓や筋肉などを生食することで感染するケースもあります。

症状は幼虫が侵入する臓器によって異なりますが、発熱、倦怠感、食欲不振、肝障害、肺炎様の症状などがみられます。幼虫が眼に移行すると(眼トキソカラ症)、視覚障害や視野障害を起こします。脳や神経に移行した場合には、てんかん発作や運動障害を引き起こすこともあります。

 

◇人での治療

体内の臓器に寄生した幼虫に対しては、有効な治療法は確立されていませんが、特に治療を必要としないことが多いようです。重症の場合や眼トキソカラ症では駆虫薬の投与やステロイド治療、レーザーによる凝固法などの治療が行われます。

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