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視覚障害

視覚障害とは

愛するワンちゃんの眼が見えていない、見えなくなってしまうと知った時の飼い主さんのショックは量り知れません。
光を失った世界、視覚情報のない世界がどのようなものなのか、目が見える私たちには推測することしかできませんが、わが身に置き換えて考えると、それはつらく悲しいことだろうと想像してしまいます。でも、眼が見えなくなったからといって、そこでわが子の一生が終わってしまうわけではありません。

ワンちゃんは人よりも嗅覚、聴覚が発達しており、視覚に依存する部分はあまり大きくないと考えられています。眼が見えなくても、慣れてくればちゃんと穏やかに日常生活が送れるようになります。ただ、そのためには飼い主さんの愛情とサポートがどうしても必要になります。飼い主さんのサポート次第で、眼が見えなくても、眼が見えるワンちゃん以上に、飼い主さんとの幸せで楽しい生活を送っているワンちゃんはたくさんいます。
眼の見えないワンちゃんがこれから楽しく生活していくためにどうしたらよいかを、前向きに考えてあげましょう。

眼が見えなくなる原因

視覚障害が起こる機序として、大きく分けて、次の4つが考えられます。
 ・眼の中で本来透明な部分が濁ってしまうことによって起こる視覚障害
 (角膜の混濁を引き起こす角膜炎、角膜潰瘍、水晶体の混濁を引き起こす白内障、硝子体出血など)
 ・網膜の異常によって起こる視覚障害
 (進行性網膜萎縮症、網膜剥離など)
 ・視神経などの視覚情報伝達系の異常によって起こる視覚障害
 (視神経の形成不全、脳炎や脳脊髄炎、腫瘍など)
 ・画像を最終的に処理する大脳皮質の異常によって起こる視覚障害
 (脳炎、水頭症、代謝性、中毒性疾患など)

視覚障害を引き起こすことの多い眼疾患

・白内障
本来透明な水晶体が白く濁ってしまうことにより視覚障害を起こします。生まれつき水晶体が濁っている先天性白内障、遺伝的要因で生後数カ月から2歳くらいまでに症状の現れる若年性白内障、加齢によって起こる老齢性白内障があります。糖尿病や外傷、中毒などに続発して現れる場合もあります。アメリカン・コッカー・スパニエル、シベリアン・ハスキー、トイ・プードル、ミニチュア・シュナウザーなどに多く見られます。
・緑内障
眼球の中を満たす眼房水の流れが阻害され、眼圧が高くなることが原因で網膜や視神経が変性し、視覚障害を起こします。先天的あるいは遺伝的要因から起こる原発性緑内障と、ぶどう膜炎など他の眼疾患に続発して起こる続発性緑内障とがあります。アメリカン・コッカー・スパニエル、シベリアン・ハスキー、ビーグル、トイ・プードル、シーズー、マルチーズなどに多く見られます。
・進行性網膜萎縮症
画像を処理する役割を担う網膜が萎縮して正常に働かなくなる遺伝性の病気です。徐々に視力が低下し、最終的には失明します。ラブラドール・レトリーバー、トイ・プードル、シェットランド・シープドッグ、シーズー、ミニチュア・ダックスフンドなどに多く見られます。

眼の見えないワンちゃんとの生活で気をつけること

1.ワンちゃんが普段生活をするスペースに危険なところがないかをチェックしましょう。

・ワンちゃんの生活導線を考えて、ぶつかりやすい位置にあるものは、安全なところに移動しましょう。
・家具の角の部分にコーナークッションをとりつける等して、万が一ぶつかっても怪我をしないようにしましょう。
・階段にはベビーゲートを取り付ける等して、落下を防ぎましょう。
・ストーブ、コンロなど危険なものには近づけないようにしましょう。
・お留守番中や飼い主さんの見ていられないときは、サークルやケージを利用しましょう。
  浴室用のバスマットをつなげたサークルは角がなくぶつかっても安心なのでおすすめです。
・外飼いのワンちゃんは、リードや大型の屋外ケージ等を利用して、庭の危険な場所に行かれないようにしてあげて下さい。

2.ワンちゃんの混乱を防ぐため、生活スペース内の家具の配置や、食餌や水飲みの場所、トイレなどの位置はなるべく変えないようにしましょう。

3.急に近づいたり触ったりするとびっくりしてしまいます。必ず声をかけてからにしましょう。

4.お散歩は必ずリードをつけて危険のないルートを選びましょう。

急にリードを引くとびっくりしてしまいますし、障害物や段差などに出くわすと驚いたりケガをしたりする可能性もあります。ワンちゃんに「注意してね」ということを伝えるときには、必ず声をかけてからにしましょう。
できれば、「止まれ」「ストップ」などのコマンドを覚えさせるといいですね。飼い主さんがたくさん声をかけてあげることで、「飼い主さんが一緒なら眼が見えなくても安心してお散歩ができること」がワンちゃんに伝わるでしょう。

5.恐怖や不安をできるだけ与えないように注意をしましょう。

急に視力を失ったワンちゃんは、そのショックや不安から精神状態が不安定になってしまうこともあります。神経が過敏な状態になったり、目が見えない恐怖心から、吠えたり咬みついたりすることもあります。「知らない人やお子さんが急に近づいてくること」など、ワンちゃんに恐怖や不安をできるだけ与えないように注意をしましょう。そのような不安定なワンちゃんの様子をみるのは、飼い主さんにとってもたいへん辛いことですが、ワンちゃんの心に安心を与えていくのは、飼い主さんが今まで通りでいることです。どんなときも、飼い主さんはずっとワンちゃんの心の灯なのです。

6.「眼で見ること」以外の楽しいことをたくさん体験させてあげましょう。

・体調等に問題がなければ、積極的に外に連れ出してあげましょう。心地よい風や陽だまりのあたたかさ、木陰の涼しさを感じること、鳥のさえずりや虫の声、海の波の音や川のせせらぎの音、風で木々が揺れる音、草や花のにおい・・・、眼が見えなくても感じられる「気持ちのいいこと」はたくさんあります。飼い主さんが感じて「気持ちのいいこと」は、ワンちゃんにだって気持ちが良いはずです!
・お家の中でも、眼が見えなくても楽しめることはたくさんあります。
楽しい音楽やリラックスできる音楽を聞かせてあげるのもいいでしょう。アロマテラピーもいいですね。ワンちゃんのお気に入りの香りを見つけてあげて、芳香浴やマッサージをしてあげるのもいいかもしれません。
・何より飼い主さんの温かい声、笑い声が、ワンちゃんは一番好きなはずです。いっぱい話しかけてあげましょう。歌をうたってあげるのもいいですね。飼い主さんがリラックスしていること、楽しそうにしていることが、ワンちゃんにとって一番安心できることなのです。

障害を持ったワンちゃんを介護しながら一緒に暮らすことは、本当に言葉にできないくらい、大変なことだと思います。実際にその状況にならなければわからないご苦労がたくさんあることと思います。
障害を持っていることは確かに「不便」なことかもしれませんが、でもそれは決して「不幸」なこととは限らないと思います。健康なワンちゃんと暮らしているお家よりも、ずっとワンちゃんとの絆が強いように感じることも多くあります。 見えなくなってしまった眼を見えるようにしてあげることは難しいですが、眼の見えないワンちゃんに飼い主さんがしてあげられることはたくさんあります。ワンちゃんが、「眼が見えなくてもこの飼い主さんと一緒に暮らせて幸せだな。」と思えることが一番なのではないでしょうか。

同じ病気のおともだち(闘病日記)

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