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肝硬変

肝硬変とは

肝硬変はある特定の病気をあらわす名称ではなく、さまざまな原因によって肝臓が長い間ダメージを受け続けた結果、肝臓が本来持つ機能を失ってしまう状態をいいます。
肝臓は代謝・解毒・タンパク質の合成など非常に重要な役割を果たしていますので、肝機能の低下は、どうぶつの体に重大な影響を及ぼします。
肝硬変になると、肝臓は広範囲に線維化して硬く変質してしまい、基本的に元の状態には戻らない(不可逆的変化)とされています。治療によって悪化を食い止めたり、進行を遅らせたりすることは可能ですが、回復させることは難しいと考えられています。

原因

ワンちゃんの肝硬変は、ウイルスや寄生虫、薬物等による慢性肝炎や急性肝炎にかかったことが原因であるとされています。
肝臓は再生力の強い臓器といわれており、ある程度のダメージであれば、失われた細胞が速やかに新しい細胞に入れ替わります。しかし、強いダメージを長期間受け続けると次第に再生が追いつかなくなってきます。そして肝臓の中に特殊な細胞(クッパー細胞=星細胞)がコラーゲン繊維を産生し、再生が追いつかない部分を穴埋めしていきます。コラーゲン線維によって肝臓の形は何とか維持されますが、肝細胞と違い、コラーゲン線維は肝臓にとって必要な働きをすることはなく「接着剤」のようなものですので、肝臓の機能はどんどん落ちていきます。
肉眼でみると、肝臓は黄色っぽく硬くなり、内部に白色や黄白色の結節(しこり)が多数できてきます。このようにして肝臓自体が柔軟性を失い、肝臓内の血液や物質の流れが悪くなっていくことも、肝機能の低下に拍車をかけるといわれています。

症状

肝硬変によって引き起こされる初期の症状は、他の病気でもみられる「食欲不振」、「疲れやすい」、「体重減少」などで、肝硬変に特有の症状ではありません。肝臓はダメージを受けても残った部分が 頑張ることによって、本来の働きを維持する能力が強い臓器といわれており、目立った症状が現れにくいのです。実に肝細胞の80%以上が失われるまで、はっきりとした症状は現れてこないといわれています。
したがって、黄疸、腹水の貯留といった肝臓の病気に特徴的な症状が表れ始めた頃には、もうかなり肝硬変が進行していることが多く、肝臓の解毒機能の破綻に伴う意識障害が出て、初めて異常に気付く場合さえあります。
慢性の嘔吐や下痢、食欲の変化、出血しやすい、体重減少といった初期の症状を見逃さないことが重要です。

診断

血液検査の数値から肝硬変の進行をある程度推測することも可能なのですが、最も確実であり、また肝硬変の進行状況を見る上できわめて信頼性は高いとされているのが「肝生検(かんせいけん)」です。この検査方法は特殊な針を肝臓に刺して組織を少量採取し、顕微鏡で確認します。採取する組織は 健康に対する影響を極力小さく留めることができるよう、必要最小限の量でされてはいますが、ただでさえ機能が低下している肝臓を傷つけなくてはいけない点がデメリットとして挙げられます。超音波検査やCT検査も診断をする上で有効であり、肝臓がんの早期発見にも役立ちます。ただし超音波検査やCT検査だけで確定診断を下すことは難しいので、状態に適した検査方法を併用するのが一般的です。

治療

肝臓にダメージを与える原因を取り除いたり、ダメージの軽減を図ったりすると同時に、肝硬変による合併症の対症療法を行うことになります。肝硬変の状態は元には戻りませんので、できるだけ早い段階で進行を食い止め、悪化につながる要素を極力取り除いていくことを目指します。
治療によく用いられる薬は症状によってさまざまですが、次に幾つかを挙げてみました。何種類かの薬をかなり長期にわたって服用することになりますので、上手く投与できないなど、困ったり、疑問に思われたりすることは都度、かかりつけの動物病院さんに相談をしましょう。

1.利尿薬
腹水がたまらないようにするために使用します。余分な水分を尿として排出することを促す薬です。
2.コルチコステロイド
いわゆるステロイド剤です。進行中の肝硬変にステロイドの投与は、一定程度有効であるとされています。炎症を抑え、肝臓の再生を促す効果を期待して使用します。
3.抗生物質
細菌を殺したり、細菌の増殖を抑えたりするための薬です。
肝硬変のワンちゃんはアンモニアを分解する能力が極端に低下していますので、腸管内のアンモニアを産生する細菌を取り除くことによって、体内のアンモニア量を少しでも減らすことを目指します。タンパク質を分解する際に産生されるアンモニアを肝臓で十分に分解できない状態に陥ると、血中のアンモニア濃度が極端に高くなって、脳に影響を及ぼします(肝性脳症)。抗生物質の使用は肝性脳症の発症を抑制するのに有効であるといわれています。なお、抗生物質の投与により下痢などの副作用が出ることもあります。
4. 瀉下薬(しゃげやく)
便を緩くするお薬です。瀉下薬の種類によっては、結腸内のpH※を下げて結腸からのアンモニアの吸収を減少させ、血液中のアンモニア濃度を下げるお薬があります。肝性脳症が見られるときには、多くの場合、このタイプのお薬を投与します。
※pHとは物質の酸性、アルカリ性の性質をあらわす単位です。
5.ビタミン剤
ビタミンKは肝臓に貯留される脂溶性ビタミンで、正常な血液凝固に必須なビタミンです。肝臓の機能が低下しているときにはビタミンKが欠乏することで血液の凝固不全(血が止まり難くなること)が起こることがあります。止血異常が見られる場合にはビタミンKの投与が必要となります。
6.サプリメント
肝臓では栄養素の代謝や中毒物質、薬物の代謝などの機能を担っています。分岐アミノ酸(BCAA)は肝機能維持に重要なアミノ酸です。このBCAAを多く含むサプリメント等を用いることもあります。

肝硬変の治療には薬物療法とともに、食事療法がたいへん重要だと考えられています。肝臓機能を回復させるためには、十分な栄養が必要です。カロリーはもちろん、良質なタンパク質を十分量補給したいところなのですが、タンパク質をそのままの形で大量に与えると、逆に弱った肝臓に負担をかけてしまうことがありますので、獣医師さんの指導の下、食事についても適切にコントロールをする必要があります。
肝臓に負担をかけず、適切に栄養を給与するための療法食の利用やサプリメントの利用など、肝硬変の進行状況やその他の健康状態を十分に検討しながら、かかりつけの獣医師さんと相談いただきながらケアをしてあげましょう。

同じ病気のおともだち(闘病日記)

みなさんからのコメント

みちさんのげんたちゃんからのコメント
今日肝臓肥大と診断されました。 高齢でもあり、長年げんたを診て頂いて来た獣医さんに 気休めは言えな

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