人獣共通感染症(ズーノーシス) 10. 鉤(こう)虫症
十二指腸虫症とも呼ばれます。日本ではヒトやワンちゃんへの感染率が低い状態ですが、国外の熱帯から亜熱帯の湿潤な地方には広く分布しています。国外で感染して国内へ流入する感染例やイヌ・ネコ由来の感染例が今後、交通手段の発達によって増加するものと考えられ、一層の注意が必要です。鉤虫は頭部に鋭利な歯(hook)があるのが特徴です。ヒト寄生の主要なものにズビニ鉤虫とアメリカ鉤虫の2種があります。
感染どうぶつ
イヌ、ネコなど
病原体
Ancylostoma duodenale (ズビニ鉤虫)
Necator americanus (アメリカ鉤虫)
感染経路
ヒト・・・鉤虫がいる土の上をはだしで歩いたり、座ったりしたときに、土壌中にいる感染力のある幼虫が皮膚から侵入して感染する経皮感染と、野菜などに付着した幼虫を飲み込んで感染する経口感染があります。
どうぶつ・・・経口感染、経皮感染の他に、感染している母親から胎児や子供への胎盤感染や乳汁感染もあります。
症状
ヒト・・・幼虫が皮膚を貫通して侵入した部分が赤く隆起し、痒みを伴う発疹(皮膚鉤虫症)ができます。幼虫が肺に移ると、発熱・咳・喘鳴(呼吸時に「ゼーゼー」などという音がする状態)が起こります。成虫が最初に腸にかみつくときに、上腹部に痛みを感じることがあります。やがて、成虫に血を吸われることにより、貧血が起こり、鉄分が不足してきます。少数の寄生では目立った症状はありませんが、たくさんの虫が寄生していると、鉄欠乏性貧血の症状が見られることがあります。
どうぶつ・・・
食欲不振・腹痛などの症状に加え、消化器の出血が見られる場合があります。鉤虫による吸血が進むと、貧血などを伴います。貧血や栄養障害により、きわめて重篤な症状に陥る事があるので、特に子犬・子猫では注意が必要です。
治療
・・・ 駆虫剤(アルベンダゾール・メベンダゾール・パモ酸ピランテルなど)の内服薬を投与します。これらの薬は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊婦には使用することができません。鉄欠乏の程度がひどい時は、鉄剤を内服することがあります。
予防
・・・野菜によって感染するケースが多いため十分に加熱をし,生野菜を食べる場合は よく洗いましょう。また、犬・猫の排泄物はすぐに片付け、こまめに清掃や消毒を行い、犬・猫の寝床やよくいる場所を中心に、掃除をこまめにしましょう。散歩の時などに、他の犬の排泄物を口にしないようすることにも注意が必要です。虫卵で汚染された糞便が土壌を汚染しないようにする、下水処理の適正化など地域の環境整備も重要になります。
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