 |
 |
1年ほど前。その頃私は、金魚の糞のように院長について診療を勉強していました。
ある日、優しい眼をした小柄なおじいさま。正直あまりきれいとはいえないキャリーバックに、正直あまりきれいとはいえない猫ちゃんをいれて来院されました。下半身が不自由なその猫ちゃんは、もうすぐ20歳。長い間便が出ていないとのことで、食欲不振や嘔吐などの症状が出ていたのを覚えています。そちらの治療の傍ら、尻尾に発見された出来物の治療、また、失禁するようになって、そのおしっこが膿んでいたためその治療も同時に行いました。
しばらくして、暖かくなったころでしょうか。お蔭様で私も、一人で診察に出るようになっていました。また便が出ていないとのことで、私が治療にあたらせて頂きました。便秘の再発を防ぐため、週一回通院していただけるようお話いたしました。それは、大変なことですが、きっちりご来院頂きました。また、途中で腎不全を患って、入院をすることになったり、退院後もお家で点滴をしていただくことになったりと大変な時期がありましたが、なんとか乗り越えてまいりました。これらの診察中に、この猫ちゃんの若かった頃や、普段の様子などをお話いただきました。パッと見ではまったく分からなかったのですが、20年間、その猫ちゃんの暖かい存在を愛しんできた姿をじわじわと感じさせる時間たちでした。
ついこの間、元気にしていたその猫ちゃんが、ふと外へ出たまま帰ってこず、近くの車の下で眠るように亡くなられたとの連絡を頂きました。私は、その子のまあるい眼と、まあるい顔と、診察中の声、そして飼い主さんの献身的なお姿を一生忘れません。冥福を祈ります。 |
|
 |
|
 |
 |