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ある日、段ボールにはいったノラネコを連れて若い奥さんが来院されました。
道をふらふらと歩いていたそうです。目やにや鼻水、そしてヨダレでひどい顔をしていました。被毛もぼさぼさで確かにふらふらと意識レベルが低下しています。私は最初、重度の猫カゼだろうと思ってそう伝えました。お家で飼っているネコちゃんに移ったら困るとのことだったので入院してもらいました。そこで、血液検査をしてみると、なんと猫汎白血球減少症、別名猫パルボの疑いが強いことが分かりました。猫パルボは、ワクチン接種をしていないネコちゃんで発症すると致死率の高い怖い病気です。そこで、遅い時間ではあったのですが、お連れ頂いた奥さんに連絡を入れ、その事実をお伝えしました。
治療には費用がかかります。また、治療したところで100%救命できるわけではありません。そして、治ってもそのネコちゃんをお家で飼うのは非常に難しいとのことでした。
次の日何の前触れもなく急に来院され、泣きながら「安楽死」をお願いされました。私は、それを頼まれたのが初めてだったので非常に困惑しましたが、その方が一晩中悩んでそのつらい決断をされたのだろうと思うと何も言えませんでした。しかし、そのネコちゃんは一晩点滴をして症状の改善が少し見られていたのでその様子を一緒に見てもらいました。ネコちゃんはもちろん生きようとしているのです。
お昼間にお電話があり、「新しい飼い主さんが見つかった。」とのこと。ネコちゃんの生きようとする姿がその方の胸に焼き付いていたのでしょう。それはそれは嬉しそうで、私もまた初心に返り「絶対治してあげたい!」と頑張りました。結局、治療の反応もよく、ご飯もよく食べ、人なつっこいネコちゃんになって退院していきました。お迎えの時、「かわいくなった!」とおっしゃっていたのが印象的でした。
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